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歌謡曲時代は重要なジャンルだった演歌

「J文学」(九八年、文芸誌『文悲』が九〇年代にデビューした作家を総称)や「Jビーフ」(九二年、日本食肉消費総合センターが国産牛肉につけた愛称)といった、ほかの「J言葉」があまり普及せずに消えていった最大の原因は、日本の若手文学や国産牛肉が、国際舞台で活躍しているというファンタジーを帯びていなかったからだろう。かくして「Jポップ」は誕生の瞬間からある遺伝子を受け継ぐことになった。それは「日本の土俗的な要素と決別し、洋楽に限りなく近づけた音楽」である。

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実は欧米で珍しがられる日本音楽といえば、尺八や琴、あるいは東洋音階によるメロディだったりするのだが。そうした伝統的な要素は切り捨てられた。なぜなら「Jポップ」のファンタジーは「日本人が国際的、あるいは西洋的だと思っているもの」だからである。歌謡曲時代は重要なジャンルだった演歌が、Jポップという範躊から切り捨てられ、衰退したのを見れば、それは明らかだ。