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簡単なことも愚かな私には分からない

友達同士が「私達ずっと友達よね」と念を押すのが嘘臭いように、恋人同士だって「私達一生愛しあっていこうね」なんて言いあうのはその場しのぎの不安解消に他ならない。けれど、というか、だからこそ、私は結婚をしたかった。守れない約束であることは十分承知している。でも、嘘でいいから「一生別れない」前提の下で誰かとつながっていたかったのだ。社会というのは大海原で、親の庇護という生け簀からそこに泳ぎ出た私は、心の底から不安だった。まだ新人OLだった私には経済力という舟もない。生け簀でしか泳いだことがなかったので荒波の中を進む体力もない。どこまでも広がる海の向こうにあるものを夢見る精神的余裕もない。かといって生け簀にはもう戻りたくない。だから私はせめて浮き輪がほしくて男の人と恋愛をしていたのだと思う。そして恋人同士という子供の浮き輪みたいな頼りないものではなく、嵐がきても流されないしっかりしたブイであるところの結婚をしたかった。結婚さえしておけば、彼が転勤になってもついていける。公式の場に二人で堂々と出ていけるし、彼の浮気も正面きって怒ることができる。あらゆる曖味さがこわかった。そして不安とのつきあい方が分からなかった。結婚をしたら曖味さがなくなり、不安も解消すると思っていたのだ。その間違いに気づくのはもっとずっとあとのことだ。一人ぼっちだから不安なのではなく、自分が何も持っていなかったから不安だったのだ。精神的、経済的な安定を自分ではなく他人に求めたら、今度はその他人が去ってしまう不安におびえなければならない。そんな簡単なことも愚かな私には分からなかったのだ。

[参考情報]
表参道の結婚式場南青山ル・アンジェ教会
http://www.le-anges.gr.jp/
表参道の教会挙式プラン
http://www.le-anges.gr.jp/chapelle/wedding.html