プレタポルテ(既製服)のスーツの場合、パンツの裾は着用者のサイズに合わせられるようになっています。ごくふつうには購入時、採寸をして店のほうで裾上げをしてくれます。ただし多少の日数がかかりますね。たいていの場合、私は自分で裾上げをします。たぶん買ったらすぐにはいてみたいからでしょう。それに自分の好みに合わせて微調整ができる点もありがたい。たとえば私は左脚のほうが約五ミリ長い。自己満足といえばそれまでですが、右脚だけを測って「はい、どうぞ」というやり方を防ぐことができるのです。また、裾ロの前部はやや短く、後部はやや長くすることもできるでしょう。つまり横から見ると、裾が腫の方に下がることになり、より靴の形にフィットする裾口になるわけです。パンツの裾上げはそれほど面倒ではありません。要は慣れの問題です。まず最初にサイズを測る。私の場合なら、八二・五センチと八二センチ。次にスチーム・アイロンを使って裾口の丈を決める。それからいよいよ糸と針で縫う。裾ロを裏返してから、千鳥縫いにする。縫糸の形がジグザグになる縫い方です。針と糸はどうしても苦手だ、という場合には裾上げテープを使う方法もあります。これはアイロンの熱で接着する専用のテープで、洋裁材料店に売っています。最近、パンツの丈が短すぎる人が多くなっているような気がします。むかしの洒落着は「ブレイク」という言葉を使ったもので、裾口が靴の甲にかかって、少し崩れるくらいが最適の長さだと考えたのです。少なくとも直立した状態で靴下が見えるのは、あまりにも短すぎる。絶対に短いパンツははかないようにしましょう。正しいパンツ丈を、しっかり上げてはく。これがジェントルマンへの第一歩なのです。
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